「協議組織」「作業間連絡調整会議」とは?違いを安衛則635条・636条から解説

「『作業間連絡調整会議』『協議組織』とは?」「法令から運営方法読み取る!」と書かれたアイキャッチ画像。作業間連絡調整書の帳票を背景に、タブレットを持った作業服の人物が指をさして解説しているイラスト
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毎日やっている作業間連絡調整会議
実は法令で義務づけられているものです

「協議組織」と「作業間の連絡及び調整」は、別々の義務として書かれています。
この区別を知っておくと、何をどこまでやるべきかが見えてきます。

そしてワークサイトやBuildeeの「調整会議」機能は、この法令の考え方をそのまま画面にしたものです。
作業予定、重機の使用予定、巡視の記録。どれも条文に出てくる項目が並んでいます。

このブログではWeb労務安全書類の操作を解説していますが、その土台にある制度を知っておくと「なぜこの入力が必要なのか」が自分で判断できるようになります。

目次

根拠は安衛法第30条第1項

元請(特定元方事業者)が講じなければならない措置として、労働安全衛生法第30条第1項に6つの項目が並んでいます。

  1. 協議組織の設置及び運営を行うこと
  2. 作業間の連絡及び調整を行うこと
  3. 作業場所を巡視すること
  4. 関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと
  5. 仕事の工程に関する計画及び作業場所における機械、設備等の配置に関する計画を作成すること
  6. そのほか、労働災害を防止するため必要な事項

この2つは別々の義務です

第1号の「協議組織」と第2号の「作業間の連絡及び調整」。
この2つは名前が似ていますがやるべきことが違います。

月例の安全衛生協議会が「協議組織」
毎朝の調整会議が「作業間の連絡及び調整」 こう対応させると整理しやすいです。
ただし呼び方は現場によって違うので、名前ではなく中身で判断してください。

①「協議組織」は、定期開催が義務です

条文が求めている3つの条件

第1号の中身は労働安全衛生規則第635条に書かれています。

特定元方事業者は、法第三十条第一項第一号の協議組織の設置及び運営については、次に定めるところによらなければならない。一 特定元方事業者及びすべての関係請負人が参加する協議組織を設置すること。二 当該協議組織の会議を定期的に開催すること。2 関係請負人は、前項の規定により特定元方事業者が設置する協議組織に参加しなければならない。

労働安全衛生規則 第635条

条件は3つです。

  • すべての関係請負人が参加する組織であること
  • 会議を定期的に開催すること
  • 関係請負人には参加義務がある

「すべての」と書かれています。二次・三次の協力会社も対象です。
また参加は関係請負人側の義務でもあると第2項に明記されています。

つかだ

「忙しいから今日は出ない」は、
条文上は通らないということです。

行政の指針では「毎月1回以上」とされています

条文には「定期的に開催」としか書かれていませんが、行政の指針では具体的な頻度が示されています。

厚生労働省の「元方事業者による建設現場安全管理指針」(平成7年4月21日 基発第267号の2)です。

元方事業者は、協議組織の会議を毎月1回以上開催すること。

厚生労働省「元方事業者による建設現場安全管理指針」(平成7年4月21日 基発第267号の2)

月1回以上。これが行政の示す水準です。法令上の義務ではなく指針ですが、監督署の指導はこの線で来ると考えておくのが安全です。

協議組織に入れるべき人も示されています

同じ指針に、構成員の具体例が挙げられています。

  • 統括安全衛生責任者
  • 元方安全衛生管理者またはこれらに準ずる者
  • 元方事業者の現場職員
  • 元方事業者の店社の店社安全衛生管理者または工事施工・安全管理の責任者
  • 安全衛生責任者またはこれに準ずる者
  • 関係請負人の店社の工事施工・安全管理の責任者、経営幹部、安全衛生推進者 等

現場の人間だけでなく、店社(支店・本社)の職員も入れるとされている点が特徴です。ただし店社の職員については、重要な工程に着手する時期など必要な時期に参加させるという書き方になっています。

協議事項は17項目

区分協議事項
計画安全衛生管理の基本方針・目標・労働災害防止対策を定めた計画/月間または週間の工程計画/機械設備等の配置計画
作業方法車両系建設機械を用いて作業を行う場合の作業方法/移動式クレーンを用いて作業を行う場合の作業方法
統一事項クレーン等の合図の統一/事故現場等の標識の統一/有機溶剤等の容器の集積箇所の統一/警報の統一/避難等の訓練の実施方法等の統一
その他安全衛生教育の実施計画/労働災害の原因及び再発防止対策/監督官等からの指導に基づく事項/元方事業者の巡視結果に基づく事項

規約の作成と、議事の記録も求められています

協議組織の規約を作成する

構成員、協議事項、会議の開催頻度等を定めた規約を作成すること、とされています。

重要な議事は記録して配布する

「会議の議事で重要なものに係る記録を作成するとともに、これを関係請負人に配布すること」。
記録を作るだけでなく、配ることまで求められています。

結果を現場労働者へ周知する

「朝礼等を通じてすべての現場労働者に周知すること」。会議に出た人だけで終わらせない、という趣旨です。

📄 厚生労働省「元方事業者による建設現場安全管理指針」(PDF・10ページ)
協議組織の運営は6ページの「6 協議組織の設置・運営」、作業間の連絡及び調整は同じく「7 作業間の連絡及び調整」にあります。

協議組織の規約は労働局の「例」が使えます!

指針で求められている協議組織の規約について、茨城労働局がひな形を公開しています。

「建設工事安全衛生協議会運営規程(例)」という2ページのPDFです。
第1条から第12条まで、そのまま使える形で条文が並んでいます。

章定めている内容
第1章 総則名称/目的(安衛法第30条に基づく協議組織であること)/用語の定義
第2章 構成会員(統括安全衛生責任者とすべての関係請負人)/代理人/会員の届出/役員(会長1名・副会長若干名)/特別会員
第3章 運営会議の開催(定例・臨時)/協議事項/職務
第4章 事務事務処理/議事録

第2条で「労働安全衛生法第30条に基づく協議組織である」と明記されているのが、この例のよくできているところです。何のための組織なのかが規約の冒頭で確定します。

発注者や設計監理者を「特別会員」にできるという条文(第8条)も用意されています。
本人の承諾を得ることが条件です。

📄 茨城労働局「建設工事安全衛生協議会運営規程(例)」(PDF・2ページ)
自社の運営に合わせて、開催日や役員の数を差し替えて使う形になります。

つかだ

規約がないまま協議会だけ開いている現場はわりとあります。
この2ページを埋めるだけで、指針の求める形になります。

②「作業間の連絡及び調整」は、随時行うものです

第2号の中身は労働安全衛生規則第636条です。

作業間連絡調整書サンプル(ワークサイト)

条文は「随時」としか書いていません

特定元方事業者は、法第三十条第一項第二号の作業間の連絡及び調整については、随時、特定元方事業者と関係請負人との間及び関係請負人相互間における連絡及び調整を行わなければならない。

労働安全衛生規則 第636条

こちらは「随時」です。定期開催は求められていません。

つかだ

元請と関係請負人のあいだだけでなく、関係請負人どうしの連絡・調整も含まれます!

指針では連絡調整する内容が5項目

元方事業者は、混在作業による労働災害を防止するため、混在作業を開始する前及び日々の安全施工サイクル活動時に次の事項について、混在作業に関連するすべての関係請負人の安全衛生責任者又はこれに準ずる者と十分連絡及び調整を実施すること。

厚生労働省「元方事業者による建設現場安全管理指針」(平成7年4月21日 基発第267号の2)

相手は「安全衛生責任者」だと明記されています。協力会社が安全衛生責任者を選任し、元請へ通報する義務があるのは、この連絡調整の相手を確定させるためでもあります。

新しく入ってきた会社への周知も義務です

見落とされやすい項目です。

元方事業者は、新たに作業を行うこととなった関係請負人に対し、当該作業開始前に当該関係請負人が作業を開始することとなった日以前の協議組織の会議内容及び作業間の連絡調整の結果のうち当該関係請負人に係る事項を周知すること。

厚生労働省「元方事業者による建設現場安全管理指針」(平成7年4月21日 基発第267号の2)

途中から現場に入った会社は、それまでの協議内容を知りません。その穴を埋める措置です。過去の議事録と調整結果を渡すところまでが元請の仕事ということになります。

「作業間連絡調整書」の公式様式はありません

よく使われている作業間連絡調整書という帳票ですが、厚生労働省や労働局が公開している公式の様式は見当たりません。

法令にも指針にも、様式の定めがないためです。指針が示しているのは「何を連絡調整するか」の5項目までで、書式は各社・各現場に委ねられています。

実務では、全国建設業協会などが頒布する統一様式や、元請独自の様式、グリーンサイトやBuildeeが出力する帳票が使われています。どれを使っても、上の5項目が押さえられていれば指針の趣旨は満たせます。

計画の作成も元請の義務です

法第三十条第一項第五号に規定する特定元方事業者は、同号の計画の作成については、工程表等の当該仕事の工程に関する計画並びに当該作業場所における主要な機械、設備及び作業用の仮設の建設物の配置に関する計画を作成しなければならない。

労働安全衛生規則 第638条の3

工程表と配置計画図。この2つが条文で求められています。作業間連絡調整の場で配置図を見ながら話すのは、ここに根拠があります。

作業間調整デジタルサービスの活用

作業予定や巡視記録をWebで共有するサービスがあります。
グリーンサイトのワークサイト、Buildeeの調整会議などです。

これらは第1号・第2号の義務を果たすためのツールという位置づけになります。
参加の確保と、連絡・調整が実際に行われることが本体です。

つかだ

システムを入れるだけで義務が消えるわけではありません。
適切な運用をし、円滑な施工体制を構築しましょう!

まとめ

  • 根拠は労働安全衛生法第30条第1項。元請が講ずべき6つの措置が定められている
  • 第1号「協議組織」=労働安全衛生規則第635条。すべての関係請負人が参加、定期的に開催
  • 関係請負人には参加義務がある(第635条第2項)
  • 第2号「作業間の連絡及び調整」=労働安全衛生規則第636条。随時行う。関係請負人どうしの調整も含む
  • 第5号「計画の作成」=労働安全衛生規則第638条の3。工程表と機械・設備等の配置計画
  • システムを導入しても義務はなくならない。参加と連絡・調整が実際に行われることが本体

あわせて読みたい

出典:厚生労働省「元方事業者による建設現場安全管理指針」(平成7年4月21日 基発第267号の2)/茨城労働局「建設工事安全衛生協議会運営規程(例)」/e-Gov法令検索「労働安全衛生法」/同「労働安全衛生規則」
※条文は記事作成時点のものです。法改正により内容が変わる場合がありますので、実務では必ず最新の条文をご確認ください。

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