CCUSのレベル別インセンティブが広がり、詳細型切替が収入アップに!
別の記事で「簡略型登録は2027年4月に一斉切替されるわけではなく、次回更新時まで待てる」とお伝えしています。
ただし、これに安心して簡略型のまま放置していると、実は損をする可能性があります。

「経歴証明」という救済制度に、令和11年(2029年)3月31日という期限があるためです。この記事では、その仕組みと、放置した場合に起こりうるリスクを、10年分の具体例で整理します。
先に結論:同じ経験でも、レベルが一段下がってしまうことも
細かい制度の話に入る前に、何が起こりうるのかを1枚の図にまとめました。
例えば同じ人・同じ経験なのに、動いた時期の違いだけでレベルが一段変わり、手当も一段下がる可能性もあります。

「そんなことある?」と思われるかもしれませんが、制度の条件を1つずつ追っていくと、むしろ何もしなければ自然にこうなるということが見えてきます。
つかだ下記から順番にご説明します!
「経歴証明」とは何か
CCUSの能力評価(レベル判定)は、本来CCUSに蓄積された就業日数・保有資格・マネジメント経験(職長・班長経験)をもとに行うのが原則です。ただし、CCUSが本運用を始めたのは平成31年(2019年)4月で、それ以前の経験はシステムに記録が残っていません。
そこで国土交通省は、令和6年(2024年)3月31日までの就業年数・マネジメント経験については、所属事業者等が作成した「経歴証明書」の提出で補えるという経過措置を設けています。
つかだベテランほど恩恵の大きい、実質的な救済制度です!
経歴証明には「提出期限」がある
経歴証明は令和11年(2029年)3月31日までに能力評価を申請した場合にしか使えません。
令和11年4月1日以降に能力評価を申請すると、経歴証明は一切提出できず、CCUSに客観的に記録された情報だけで評価されることになります。
レベル判定には「日数」が必要
なぜ期限を逃すと痛いのか。それは、レベル判定が就業日数という「数」で決まる部分を持っているからです。職種ごとの能力評価基準で細部は異なりますが、共通する目安は次のとおりです。
| レベル | カード色 | 必要な就業日数の目安 |
|---|---|---|
| レベル1 | 白 | 登録すれば取得(日数の要件なし) |
| レベル2 | 青 | 645日(約3年)+ 所定の保有資格 |
| レベル3 | 銀 | 1,505日(約7年)+ 所定の保有資格 |
| レベル4 | 金 | 2,150日(約10年)+ 職長としての就業日数645日(約3年)+ 所定の保有資格 |
つかだベテランの方が高いインセンティブのレベルを、
今から得られる獲得するチャンスです!
なぜ「簡略型のまま放置」がリスクになるのか
ここで、簡略型登録の一本化の話とつながってきます。前回の記事で触れたとおり、簡略型のままでは能力評価(レベル判定)そのものを受けられません。
では、簡略型のうちに積んだ入場履歴は、詳細型に切り替えた後も有効なのか。ここは公式FAQに明記されています。
「簡略型」と「詳細型」で施工体制の登録や作業員名簿の登録など運用方法や就業履歴の蓄積に違いはありますか。(FAQ№934)
どちらの登録方法でも施工体制や作業員名簿の登録、就業履歴の蓄積は同じとなり、運用上の差異はございません。
建設キャリアアップシステム「2段階登録申請について」
簡略型のせいで日数が消えるわけではありません。カードをタッチしていれば日数は積み上がり、詳細型に切り替えた後もそのまま使えます。問題は、CCUSに記録が残るのは「登録した日から先」だけだということです。
CCUS登録より前の経験は、どれだけキャリアが長くてもCCUSには1日も入っていません。それを埋められる唯一の手段が経歴証明です。
ところが経歴証明は能力評価を申請するときにしか提出できず、簡略型では能力評価そのものを申請できません。つまり簡略型のままでは、経歴証明を出す機会が一度も来ないのです。
整理すると、リスクは次のような流れで顕在化します。
- 「次回更新時まで待てるなら」と、詳細型への切り替え・能力評価の申請を後回しにする
- 簡略型のままなので能力評価を申請できず、経歴証明を提出する機会が来ない
- 気づいたら令和11年(2029年)4月1日を過ぎており、経歴証明が使えなくなっている
- 本来20年・30年あるはずのキャリアのうち、CCUS登録後の期間しか評価されず、実績より低いレベルになる
具体例:経験15年・2026年に簡略型で登録した人
冒頭の図を、数字で追ってみます。2011年から現場に出ていて、CCUSには2026年に簡略型で登録した技能者を想定します。
費用の安い簡略型(2,500円)で登録しました。ここで押さえておきたいのは、2011年から2026年までの15年分は、CCUSに1日も記録されていないということです。CCUSに就業履歴が入るのは、登録した日から先の分だけです。
ここは誤解されがちですが、簡略型でも就業履歴はきちんと積み上がります(FAQ№934)。ただし積み上がるのは2026年から先の分。レベル判定は受けられないので、カードは白のままです。
この日までに詳細型へ移行して能力評価を申請していれば、2024年3月以前の12年分を経歴証明で補えました。就業日数も職長・班長としての経験日数も、会社の証明書で埋められます。
「更新のときに詳細型になるから」と待っているうちに期限が過ぎます。2029年4月1日以降に能力評価を申請すると、経歴証明は一切提出できません。登録前の12年分を証明する手段が、永久に失われます。
評価に使えるのはCCUSに残った登録後の日数だけ。約3年分ではレベル2(青カード)の要件しか満たせません。経歴証明を使えていれば、就業日数1,505日を超えてレベル3(銀カード)に届いていたはずでした。
実際の経験は15年。それでも評価はレベル2どまり。期限内に動いていれば同じ経験でレベル3でした。失ったのは「レベル1つ分」であり、その差は手当に直結します。
レベルが一段違うと、手当はどれくらい違うのか
「評価が下でも実害はないのでは」と思われるかもしれません。しかし今は、CCUSのレベルに応じて手当やポイントを出す元請・事業者が増えています。実際に公表されている例を挙げます。
| 会社 | 単位 | レベル1 | レベル2 | レベル3 | レベル4 |
|---|---|---|---|---|---|
| 谷脇組(自社技能者) | 月額 | 5,000円 | 10,000円 | 15,000円 | 20,000円 |
| 松井建設 | 四半期 | 5,000円 | 10,000円 | 12,000円 | 15,000円 |
| 大和ハウス工業(協力会社) | 日額 | 対象外 | 50円 | 100円 | 200円 |
| 前田建設工業(MKポイント) | 入場1日 | 対象外 | 100pt | 200pt | 500pt |
1か月あたりで見れば数千円の差です。ただ、これが10年、20年と続く差になります。谷脇組の例なら、レベル2とレベル3では月額5,000円、年間で6万円。レベル4まで届いていれば、レベル2との差は月額1万円・年間12万円です。レベル1つ分の差が、そのまま毎月の手取りに乗ってきます。

そして一番もったいないのは、やるべきことは「期限内に申請する」だけだったという点です。
つかだすでに持っている実績を、証明できるうちに証明しておく。
それだけでレベルが一段変わる場合もあります!
では、いま何をすればいいのか
この問題の本質は、制度の複雑さそのものより「CCUSカードが自分の待遇に関わる」ということが本人に伝わっていないことだと考えています。やるべきことは、会社側と技能者本人側で分かれます。
いくらかかるのか、いつ動くのが得か
費用も公式に示されています。
簡略型から詳細型への変更が2,400円、レベル判定(能力評価)の申請が4,000円で、合わせて6,400円です(FAQ№937)。
ここで少し戦略的な話をします。一本化の資料では、2027年4月以降に移行費用が1,500〜2,000円へ引き下げられる想定が示されています。つまり金額だけで見れば、2027年4月以降に移行したほうが安く済む見込みです。
一方で、経歴証明の期限は2029年3月31日。となると狙い目は2027年4月〜2029年3月の2年間です。この間なら、引き下げ後の移行費用で切り替えつつ、経歴証明にも間に合います。
つかだただしお得になるのは、会社員の方は会社の経費差額¥500程度ですが、
その間機会損失するのは技能者本人のインセンティブというケースも。
- 会社(事業者)がやること
-
- 簡略型で登録している社員がいるか、いま洗い出す。登録年から更新年(=10年後)を割り出し、2029年3月より後になる人を特定する
- 該当者は更新を待たず、前倒しで詳細型へ移行する(前倒し移行は制度上認められています)
- 2024年3月以前の在籍記録・職長経験の記録が社内に残っているか確認する。経歴証明を書けるのは会社です
- 「カードをタッチすると就業日数が積み上がり、将来の手当につながる」ことを現場で共有する
- 技能者本人がやること
-
- 自分のカードが簡略型か詳細型か確認する(レベルの色が付いていなければ簡略型の可能性が高い)
- 現場に入るたびカードをタッチする。これが将来のレベルの元になります
- 2024年3月以前の経験があるなら、2029年3月31日までに能力評価を申請する。会社に経歴証明を頼む
- 過去に勤めていた会社の証明が必要な場合は、その会社が存続しているうちに動く
経歴証明を使う際の注意点
経歴証明を使う場合、証明者は所属事業者・上位下請事業者・元請事業者のいずれか(いずれもCCUSに事業者登録済みであることが条件)、またはそれらによる証明が難しい場合は能力評価実施団体になります。
証明してくれる会社が今も存在している・協力してもらえるうちに動いておくことも、実務上は重要なポイントです。会社の廃業や担当者の異動が重なると、後から経歴証明を取ること自体が難しくなる可能性があります。
つかだ残り時間で考えると、2029年3月31日まであと2年半ほどです。対象者の洗い出しと社内記録の確認から逆算すると、決して余裕のあるスケジュールではありません。
まとめ
- 経歴証明は、令和6年(2024年)3月31日までの経験を補える救済措置
- ただし令和11年(2029年)3月31日までに能力評価を申請しないと使えなくなる
- 簡略型のままでは能力評価(レベル判定)を申請できない。=経歴証明を提出する機会がない(就業履歴の蓄積自体はできる)
- レベル判定は就業日数(レベル2=645日、レベル3=1,505日、レベル4=2,150日が目安)で決まる部分があり、CCUSに記録が残るのは登録した日から先だけ
- 「次回更新まで待てる」と先延ばしにすると期限を過ぎ、実際の経験より一段低いレベルで評価される
- レベル1つ分の差は手当に直結する(月5,000円・年6万円の例)。期限内に申請するだけで防げる
- 特にベテランほど、詳細型への前倒し移行と能力評価の申請は早めに動いておくのが得策
つかだ「証明できるうちに証明しておく」だけで、手当が一段変わります!


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